M様 2016年出産

明け方におもらしをしたような感覚で目が覚めました。慌ててトイレに行くと、水がずっと止まらないので、破水したのだと気付き、主人を起こしました。その時、まだ36週と5日で、まだ37週にも入っていなかったため、心の準備ができておらず、破水したままどうしていいかわからなくておろおろしました。

その間、主人が病院に電話をしてくれ、破水したことを伝えると、すぐに来るよう言われました。夜用の生理用ナプキンをし、念のために入院グッズを持って、病院へ向かいました。Barnet Hospitalという、ロンドン北部では最も規模の大きな病院です。

病院に着くと、まず受付で破水したことを伝えました。「今何週目か」と、「胎動を感じるか」と、「羊水の色」等を聞かれたので答えました。羊水は透明でピンクがかっていました。胎動は動揺していたせいかあまり感じませんでした。羊水の色は通常だと言われたのですが、胎動を感じないのはおかしいらしく、すぐ出産用の大きな個室に通されました。

そこでしばらく待っていたらまず助産師さんがきて、羊水の検査をし、触診で赤ちゃんの状態を確認されました。その後ドクターが来てまたほぼ同じことを繰り返しました。胎動はあるような、ないような感じで、助産師さんの触診によると、ちゃんと赤ちゃんは動いているとのことだったのですが、不安だったこともあり、はっきりと感じられなかったので、胎動は感じないと言い続けました。

通常は陣痛が来るまで自宅に帰されて待機らしいのですが、37週未満の早産なのもあり、念のためにすぐに入院することになりました。

18時間以内に陣痛がなければ、抗生剤を打ち、24時間で陣痛促進剤を使うことを言われました。入院が決まると、個室から大部屋へ移されました。ベッドと椅子が入るくらいの小さなスペースがカーテンで仕切られているだけで、今から振り返ると、自宅に帰っていた方が居心地は良かったかもしれません。

結局、陣痛はずっとこなかったため、抗生剤も陣痛促進剤も使いました。陣痛促進剤は、はじめは錠剤を下から入れましたが効かず、更に強いものを点滴で入れることになりました。点滴をすることになった時点で大きな分娩用の個室に移されました。後からわかったことですがNHSの産科はかなり忙しく、陣痛がかなり進んで子宮口が8センチ開いていても、個室が空いていない場合があり、本当にギリギリまで分娩室に行けないお母さんがたくさんいるので、ある意味陣痛が来る前から分娩室にいられたのはラッキーだったのかもしれません。

NHSでは、陣痛の痛みを和らげるための手段が、水中分娩やアロマ、マッサージ等を除いたものだと、大きく分けて3つあります。epidural (硬膜外麻酔)、pethidine(ペチジン鎮痛剤)、gas and air(笑気ガス)です。ペチジンは硬膜外麻酔に比べ、母体へのリスクが少ないと聞いたのですが、赤ちゃんが眠たくなることやあまり痛みに対する効果がないと聞いていたので検討しませんでした。

硬膜外麻酔についてはイギリスではかなり一般的なのと、陣痛促進剤を打つと自然に陣痛が来る場合に比べ、急激に痛み出すため、硬膜外麻酔を使う人が多いと聞いたので、抵抗があったものの、陣痛がきてから、耐えられないようであれば使うことにしました。

私の場合、破水してから陣痛がくるまでにかなり時間が空いていたので、陣痛の鎮痛方法について迷う時間が長く、不安が募りました。そんな時主人が丁寧に私の気持ちを聞いてくれて、痛み止めの使用について背中を押してくれたので、本当に良かったと思っています。

陣痛を測定する装置と、赤ちゃんの心音を確認する装置をつけ、陣痛促進剤を打つと、30分くらいでかなり強い痛みを感じ始めました。2時間くらいで耐えられず、硬膜外麻酔をお願いしましたが、麻酔医が別の手術で来られず、待たされました。もし、硬膜外麻酔に抵抗がなく、使うつもりでいるなら、麻酔医はいつもいるわけではなく結局麻酔なしで出産する場合も多いらしいので、始めからお願いした方がいいと思います。

結局お願いしてから1時間ほどで麻酔医が到着し、麻酔をしてもらったら驚くほど痛みは消えました。ただ、ものすごく寒気がしました。陣痛のくる感覚は圧力がかかるのでわかりました。麻酔をしてから1時間くらいで子宮口が開き、助産師さんのかけ声と一緒にいきみました。

子供が2430gと小さかったこともあり、吸引等もすることなく、ほとんど問題なくすぐに産まれました。

ただその後、出産で裂けた傷が大きく縫合することになりました。始めは助産師さんが縫合したのですが、縫合後かなり痛みが残っていたので、別のシニアな助産師さんがきてやり直し、結局最後にはドクターが更にやり直し、子供が午後9時過ぎに産まれてから、結局朝6時くらいまで、縫合しては待たされ、縫合しては待たされを繰り返し、かなり辛い思いをしました。

硬膜外麻酔はすでに切れていたので、部分麻酔を新たに打ちながら縫合されました。最後に縫合してから、1時間くらい寝ていたのですが、激痛で起き、ナースコールをしました。この時大きな声が出るくらい痛かったので、かなり強い痛み止めをもらいました。それでも効かなかったので、ようやくドクターが来てくれ、触診したところ、産道に血腫がありそうだということで、手術室で背中から麻酔をして、産道を確認することになりました。結局直径5センチほどの大きな血腫があり、そのまま取り除く手術をしました。もし産後痛みを我慢し、そのまま自宅に帰されていたら、血腫の発見が遅れ、ずっと激痛に耐えなければならなかったのかと思うとゾッとします。

日本では丁寧に検査をしてくれたり、痛みがないか等色々聞いてくれるのかと思いますが、イギリスでは自分から言わないと何もしてくれません。痛みがあるのも普通だと言われて済まされてしまうので、痛みは我慢しないで不安があれば伝えた方がいいと思います。

イギリスの病院では通常翌日には退院するのですが、傷が大きかったことや手術のせいで、輸血を勧められるくらい貧血になってしまい入院が延びました。
更に、息子が黄疸になり光治療が必要となったため、そのまま病院に残り結局10日間の入院となりました。
色々と大変なこともありましたが、息子の成長を主人と一緒に見守ることができ、イギリスで出産してよかったなと心から思います。


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