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乳腺炎の対処方法と母乳育児
乳腺炎の対処方法
★授乳や搾乳をいつも以上に頻回に行い、溜まっている母乳を出すようにします。
★射乳反射を起こすようにします。
★体を温める/冷やす(状況により異なります。)
【一番重要】
身体は休ませても授乳は休まないようにします。しこりができたら、すぐに頻回授乳と搾乳を繰り返します。集中的に行えばほとんどの場合、2、3日程度で軽減していきます。
【射乳反射とは】
しこりができた時や乳腺炎の時は、射乳反射が起こりにくい状況にあります。1回の授乳で平均4~5回の射乳反射があります。反射が起きると1~3分間、乳管が約1.8倍に広がります。その時、母乳は勢いよく流れだします。
どうやったら起こしやすくなる?
●お子さんに授乳させながら、同時に片方の胸も手でタオルに絞り出すようにします。射乳反射が出始めてきたら(ごくごくと音が聞こえる)すぐにしこりがある胸の方をくわえてもらいます。
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●湯船に浸かりながら、シャワーにあたりながら搾乳をし、お風呂から上がったらすぐに授乳を行うようにします。
●身体を温めながら搾乳を行います。(湯たんぽをあててみる)
●しこり部分は温めないようにします。(母乳の生産が促されてしこりや張りが増強してしまう)温めるのは内臓(お腹や腰)、手足が冷えてる場合も同じです。
【温める】授乳の前
熱が上がってくる前の寒気、関節痛時に有効です。温めすぎると胸の張りが強くなるため、胸を直接温めるのではなく、内臓(お腹)や背中、足、首の後ろの付け根を温めるようにします。
【冷やす】授乳の後
熱感や、赤み、痛みがある場合のみ、濡れたガーゼハンカチを少し冷蔵庫に入れて冷やしたものをあててみます。強く冷やしすぎると、軽度の凍傷になる恐れがあるので、ひんやり気持ちの良い程度にします。
【出産直後の胸の急激な張りの対処方法】
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出産してから数日後、急激に母乳が生産されることで、胸が張ることがあります。対処方法としては、授乳の前に手で搾乳すると、胸の張りが軽減しやすくなります。病院に入院中であればシリンジで吸いながらされると、赤ちゃんに絞った母乳を上げることができます。
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【病院受診の目安】
上記の方法を行いますと、通常48時間以内に胸の張りやしこりは消失、または軽減していきます。
痛みや熱がある場合は、解熱鎮痛剤を内服されますと、授乳中の痛みが軽減できます。
内服をやめると、痛みが戻ってくる、熱が38度以上出る場合は、感染性の乳腺炎を疑い、病院で抗生剤を処方してもらうことをお勧めします。
また、胸のしこりや張り、白斑、乳腺炎を繰り返す場合は、今一度、授乳の仕方を再確認してみてください。
授乳をするときの姿勢、授乳クッションの使い方
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授乳をする場所に、特に決まりはありません。
ですが、数時間ごとに行うものなので、
・場所を決めておく
・まわりに必要なものをあらかじめ置いておく
これだけで、授乳を行いやすく、続けやすくなります。
授乳クッションは、お母さんの身体的な負担を減らしますので、長く授乳を続けようと思っている人は、購入されることをお勧めします。
授乳クッションを購入するときのポイント
・厚みがあり、平らなこと
・背中側や腰などに、止める金具があること
上記の二点に該当しない授乳クッションでも、丸めたタオル、固めの枕やクッションを間に挟むことで、高さを合わせやすくなります。
赤ちゃんの姿勢
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授乳の時に、痛みがあったり、傷が繰り返しできることはありませんか?
その場合は、今一度、授乳の時の赤ちゃんの姿勢を確認してみてください。
・上から見ると、お母さんのお腹に赤ちゃんの体がくっついています。
・赤ちゃんの頭から足まで、お母さん側に向いています。
・赤ちゃんの鼻と、お母さんの乳首は、同じ高さにあります。
授乳の時のくわえさせ方
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・赤ちゃんの後頭部に、お母さんの手はかからないようにして、お母さんの手のひらが、赤ちゃんの肩、首、耳を支えるようにします。
・赤ちゃんの頭が少し後ろに向き(後屈)
・赤ちゃんの下顎が、お母さんの胸につき
・下からくわえる感じです。
大事なのは、
・赤ちゃんが口を開けたら、すかさずお母さんの方へ赤ちゃんの身体全体を引き寄せる(お母さんが前かがみにならない)
ことで、お母さんの身体の負担が軽減でき、赤ちゃんが浅くくわえることを予防できます。
おさらい
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授乳中や終わった後に、
・痛みがある
・赤ちゃんが舌打ちを打つような音を立てて飲んでいる
・しこりができているのに小さくならない
場合は、左記の8つのポイントを今一度、確認してみてください。