下記のブログに記載された記事を、ご本人に承諾を得た上で記載させていただきました。           

朝岡さやかオフィシャルブログ Morning Star

破水〜陣痛開始〜出産まで

1月5日早朝の破水から始まり、その約28時間後の出産でした。
破水後すぐに病院に行くと、まだ子宮口が1センチしか開いていないので、一度家に戻って陣痛待機して下さいとの指示。
「Enjoy your freedom〜(今のうちに自由を満喫しておきなさ〜い♪)」
 と助産婦さんに言われ、あっさり追い返されてしまいました。
(日本では破水すると即入院なのですが、こちらでは平気で帰されてしまいます)
でも、恐らく今日中に本格的な陣痛開始〜分娩となるでしょうとのこと。

そしてその日の夕方から始まった10分おき位の陣痛が、まず前半の7〜8時間かけてどんどん間隔が狭く強くなり、夜中になって1〜2分間隔(通常では赤ちゃんが出て来る直前の陣痛間隔)になり、這いつくばるようにして再度病院に行くと、なんとまだ子宮口は2センチしか開いていないということが判明し目の前が真っ暗に・・。
子宮口は10センチまで開かないと出産できないので、まだまだあと8センチ開かなくてはいけません。なのに陣痛だけはもう既に1分おきにひっきりなし・・と出産直前のピーク近くの状態。
もともとの私の子宮の向きや高さの関係で、子宮口がかなり開きにくい方でしょうと前から言われていたのですが、案の定、全くその通りでした・・。

NHSでは子宮口が5センチ位開いていないと病院では受け入れないことになっているそうで、この状態でも更に家に返されそうになったのですが、モニターを付けた結果、あまりに頻繁に強い陣痛が来ているので、取り合えずそのまま病院にStayして良いことになりました。

先に破水をしていたため、左手には抗生物質の点滴、右側には胎児心拍のモニターをつけ、寝返りも打てない張り付け状態のまま陣痛に耐えながら、これまでの8時間に加えて、そこから更に8時間。子宮口を開きやすくするのと、少しでも痛みを抑えて体力を温存するために、ペチジン(pethidine モルヒネ系の注射)を打たれたものの、鎮痛効果の割に副作用ばかりが大きくて、吐くし意識は朦朧・・・。(正直、陣痛が1〜2分おきになってからの後半戦8時間は、あまりの苦しさとペチジンの副作用で、殆ど記憶がぶっとんでます・・。)
その間ずっと、陣痛が来る度に呻きながら、右手は母、左手は夫の手を、爪の後がつく位、きつく握り続けていたことだけ覚えています。

水中出産や無痛分娩の選択肢は、先に破水してしまっていることと、子宮口が開くタイミングの問題などから、当然却下となってしまいました。
ようやく子宮口が全開大(10センチ)に開いた最後の最後の段階で体力が尽きて、有効な陣痛が来なくなってしまい、緊急で産婦人科医2人+スタッフが追加で招集され、最後は5人がかりで赤ちゃんを引っ張り出してくれた・・という感じでした。  
最後のありったけの力のいきみと共に赤ちゃんが一気に出てきて、助産婦さん達が取り上げた後、そのまま直接私のお腹に乗せてくれました。
「おぎゃー!」という元気な泣き声というより、「ふにゃーーー、ふにゃーー」というネコちゃんみたいな可愛い産声で、私の胸の上で泣いている声が聞こえた瞬間、涙が一気に溢れてきて止まらなくなりました。

出産前、私が頭に描いていた理想の出産、「イギリスならでは水中出産で、ジェフネルソンのピアノをBGMにかけながら、習ったマタニティヨガで陣痛を逃し、陣痛の合間には家から持って行ったおにぎりで体力を付け、赤ちゃんのことを思いながら平和な気持ちで出産を迎える・・・」
なーんて、勝手に描いていたバースプランとは結局ほど遠い、私にとっては壮絶な経験になってしまいましたが、初産では陣痛開始から16時間というのはこれでも全然平均の範囲内らしく(いやーー世の中の全てのお母さん達を尊敬です・・)、こんなもんじゃなくもっともっと大変なお産は沢山あるし、母子ともに無事元気に退院できて、かけがえの無い宝物となった我が子と、
妊娠中も出産の場でも何から何まで支えてくれた夫と、日本からこの一週間サポートに来てくれて全面的に助けてくれた母と一緒に、こうやって今ゆっくり平和に家で過ごせていることを思うと、
十分「安産」だったのだと思います。本当に感謝です。

出産直後のカンガルーケアと授乳、そしてシャワー?!

産まれた直後に、すぐに赤ちゃんをダイレクトにお腹の上に載せてくれます。日本でもカンガルーケアということで広まっている、赤ちゃんとお母さんの一番最初のスキンシップ。
その後10分位の間、へその緒のカットしたり(夫が切らせてもらいました)、赤ちゃんの体重を計ったり、基本的な検査などなど。全て同じ部屋の中で行われます。

バースプランに「研修生が見学などに立ち会っても良いか」というのを記入する欄があり、母親学級の時にMidwifeが「研修生立ち会いOKにしておいたほうが、彼らは優しいし一生懸命だし、何か会った時に人手が増えるし、いいわよ〜」と言っていたのでYesにしておいたのですが、Yesにしておいて本当に良かったです。
実際の出産時には、この他に、緊急で招集された産婦人科のお医者さん2人とベテラン助産婦さんの合計5人が立ち会っていて、そのベテラン軍は出産中もスゴい剣幕でかなーり怖かったのですが(頼もしかったし、彼らがいなかったらこの子は無事産まれてなかったのでもちろん感謝なのですが・・)、この若い助産婦さん二人は優しかった〜。

そして、再び赤ちゃんを渡してもらうとすぐに助産師さんから、「ハイっ!おっぱい飲ませてね!」との指示。ええええ〜!飲ませてって言われても・・絶対出ないです!!と思ったのですが、産まれてから30分以内に初乳を吸わせることは重要らしく、その後も24時間以内になるべく頻回に吸わせることが、その後母乳がスムーズに出ることに繋がるんだそうです。産まれてすぐでも、哺乳類の本能なのか、赤ちゃん、ちゃんと吸おうとするんですね〜!感動!そして私自身これまでの人生で全-く母乳など出る気配のなかった貧乳から、ちゃんと透明な初乳が!人体の神秘です!!「出ても出ていなくても、なるべく沢山吸わせて」と言われ、赤ちゃんって産まれた時からアゴの筋肉強いんだなぁと感動しながら、取りあえずずっと吸わせていました。

そしてしばらくおっぱいを吸わせた後、助産婦さんから今度は「はいっ!じゃぁ、シャワー浴びてきて〜!」出たーー!噂の出産後即自力シャワー!!
日本では普通出産後6時間で初回歩行が許可され、24時間後にようやくシャワー許可です。それがこの国では出産直後にシャワー指示・・。
噂には聞いていたのでびっくりはしませんでしたが、実際これ、ひとりじゃ無理です(泣)陣痛自体は消えたとはいえ、腰も足も、やっと立てるくらいのフラフラだし。母などに手伝ってもらって、やっとの思いでシャワー完了。

ふらふら戻ってきて椅子に座ると、再び助産婦さんから「赤ちゃんになるべくおっぱい飲ませてね〜」との指示があり、またおっぱいをあげていると、朝食サービスが来ました。
「トースト食べる? 紅茶とコーヒーどっちがいい?」
この国は出産直後でも「トーストと紅茶」らしい・・。さすがイギリス・・。 日本人でいうところの「おにぎりと麦茶」の感覚なのだと思います。こんなヘロヘロ状態でモソモソのトースト(しかもバターもジャムも無し)なんか食べれないよ〜と思ったものの、やたらお腹が空いていたので、トーストでも何でもいいやと思い、トーストと紅茶をオーダー。まぁ全て無料サービスなので文句は言えません。

Postnatal Ward(産後病棟)へ強制移動

しばらくすると別の助産婦さんが入ってきて今度は、「この部屋、次の人が来ちゃうから、すぐに荷物を片付けてまとめて、向こうの大部屋に移動して〜!」

ぎゃぁぁぁ・・やっとお茶飲みながらゆっくりできると思ったのに・・。もう、あの、ゆっくり休むとか、そういうヒマ一切無しです(笑)
夫や母などが同伴してくれていたから何とかなったものの、もし立ち会い無しで一人きりだった場合、出産直後にひとりでシャワー、赤ちゃん連れて移動・・。イギリス人女性達はこれを一人でこなしてしまうんだろうか・・タフ過ぎです! 
荷物をまとめて、届いたばかりのトーストと紅茶を持って、一同、フロアの反対側にある産後病棟)の大部屋に移動。なんと慌ただしい(笑)私はさすがに立って歩くのは無理なので、颯太を抱いたまま車椅子での移動。

産後病棟の大部屋は、4つのベッドの合部屋で、カーテンで仕切られています。ここに赤ちゃんと一泊だけ入院することになります。この国のNHSでは、よっぽど問題が無い限りは、赤ちゃんは「新生児室」には入りません。日本でも、母子同室の場合は、出産当日から赤ちゃんと一緒の部屋にいれるところもありますが、それともちょっとニュアンスが違って、もっと放置的というかなんというか・・・。産まれて体重などを計った後は、「ハイ、これ今日からあなたのものよ〜」っていう感じで、そのままポンと赤ちゃんを手渡され、それっきり・・という感じです(笑)

Postnatal Ward(産後病棟)に移動したら、少しゆっくりできるかなと思ったのですが、すぐに色々な検査が始まりました。
新生児室がないかわりに、お医者さんや助産婦さん、検査技師さんなどが、次々と入れ替わりに、自分のベッドのところまで来て、血圧を計ったり、熱を計ったり、母体の検査や赤ちゃんの検査をしてくれるという「回診スタイル」です。

例えば新生児聴覚検査(OAE&AABR)なども、寝ている私と颯太の横に検査技師さんが検査器具を持って来てくれて、 1対1でこれから行う検査のことを詳しく説明してくれ、私が同意した上で、私の目の前で検査し、結果もその場で説明してくれます。

日本だと、赤ちゃんが別室に連れて行かれて、自分の見ていないところで検査が行われて、後で結果だけを聞くというところも多いと思いますが、このように、お医者さんや技師さんの方からベッドに来てくれて、全て目の前で行ってくれるというのは、とても安心感がありました。

種々の検査だけに限らず、その他にも、例えばビタミンKの投与の有無や投与方法などなど、新生児に何かする時には、主導権はあくまでも病院ではなく母親側にあり、全て母親側に同意を求めてから行う、というのがこの国のスタイルのようです。

そんなこんなで、嵐のように慌ただしく過ぎ去っていった出産第1日目。
付き添いの家族などの面会は、朝10時〜夜20時までのみなので、20時以降はいよいよ、赤ちゃんとふたりきりの初めての夜です。どうなることやら・・。

出産当日はバタバタしているうちにあっという間に終わり、面会時間は午後20時までだったので、付き添いの夫や母も帰らざるを得ず、突然赤ちゃんと二人でぽつーん。
ちなみに、イギリス国立病院(NHS)では、出産も無料、入院も無料なのですが、そのかわり、必要なものは全て持参しなくてはいけません。今日本ではやりの「手ぶら入院」の正反対ですね(^-^;)。赤ちゃんのおむつやおしり拭きなども当然支給されないので、自分たちで用意していかなくてはいけません。

ということで、大量のおむつやタオルなどは持参していてグッズの準備だけは万端なものの、さっきまでの授乳やおむつかえは、母に手伝ってもらってたりしていたので、一人きりでやるのは初めて。出産前のNHS主催の母親学級では多少指導があったものの、赤ちゃんのお世話そのものについて、大して把握していないまま、いきなり赤ちゃんと二人きりになってしまった感じです。

考えてみたら、臨月の間、「陣痛〜出産」までの流れは、必死に何度も頭でシミュレーションしてたものの(ちなみにそれは全くシミュレーション通りにならなかった・・)、出産後の入院中の赤ちゃんの具体的なお世話に関しては、殆ど予習してなかった!( ̄ロ ̄lll)
時々、「気づいたら突然コンサートやコンクールの本番のステージに上がっていて、全く練習していない曲を弾くことになっていて、真っ青-- 」という夢を見るのですが、まさにそんな感覚です。
Midwife(助産婦さん)は、「何か困ったことがあったら、いつでもナースコールしてね」と言ってくれているものの、やっぱり不安。
記念すべき赤ちゃんとの最初の晩、私ちゃんと一人で乗り越えられるんだろか・・。

うたたねしている間に消灯したらしく、ふと目を覚ますと大部屋の電気が既に消されていて、部屋のあちらこちらから、赤ちゃん達の泣き声やお母さん達のあやす声が聞こえていました。
カーテンをはさんで反対側は、アフリカ系のお母さんと双子の赤ちゃんたちが、それはそれは元気な声で泣き続けています。横のイギリス人母子は全く赤ちゃんが寝ないらしく、ベッド脇の電気を付けたままずっとあやしています。そして、私の赤ちゃんはというと・・。出産の産声以来、かれこれまる12時間、一度も泣き声をあげていない・・・。じーーっと周りを観察しているか寝ているだけ。さすがに不安になって、見回りにきた看護師さんに「スミマセン。。。この子、全く泣かないというか声すら発しないんですけど大丈夫でしょうか。。。泣」と聞くと、看護師さん、「あら、泣かない赤ちゃんなんてラクでいいじゃない、あなたラッキーよ、喜びなさーい。」でも、出産後、昼間まったく泣かなかった上に、就寝から丸3時間以上たっても、うんともすんとも言わないので、さすがに無理矢理起こしておっぱいあげてみたり。そして夜中の3時頃。突然火がついたような泣き声!向かい側のカーテンの双子ちゃんでもなく、お隣の赤ちゃんでもなく、まぎれもなく私の真横にいる赤ちゃんの泣き声!!産声の時の5倍位の声量で泣いてる!きゃあああどうすればどうすれば??おっぱいをあげてみるが泣き止まず。おむつも変えてみるが泣き止まず。

あたふたしながら赤ちゃんを抱き上げて体中観察してみると、 片方の鼻が完全に詰まっていて、息をする度に鼻がふんがふんがいっている!どうやらこれが大泣きの原因。
赤ちゃんの鼻が詰まったら、お母さんの口で吸ってあげるというのをきいたことがあるので、おそるおそる吸ってみたものの全くダメ。せっかく日本から買ってきてもらった鼻吸い器は、まさかこんなすぐに使うとは思わず自宅に置いてきてしまったし・・。にっちもさっちもいかず、この日初めてのナースコール・・。
「すみません〜、全く泣き止まないんですけど、どうやら鼻が詰まっちゃっているみたいで」
来てくれた助産婦さんの顔を見上げると、就寝前に私が「この子泣かないんですけど・・」と相談したのと同じ助産婦さん。
「あなた、この子泣かなくて心配って言ってなかったっけ〜(笑)」
と笑われながら(^-^;)「あぁ、これねー、スポイトで食塩水を少し入れてほっておくと、自然と流れ出すから、今やってあげるわね」と、すぐに処置してくれました。
スポイトで食塩水を入れてもらってしばらくたつと、本当に鼻の通りがよくなって、すーーっ、すーーっと、気持ち良さそうな寝息で再び寝始めました。
一夜あけて

そして無事翌朝に。夜中の鼻づまり事件?をきっかけに、赤ちゃんはめでたく、ちゃんと泣いてくれる赤ちゃんに変身しました(^-^;)

この日は朝から、母体の方をチェックするお医者さんや、新生児の小児科医の検診、母乳育児のボランティア団体の方、Bountyという育児支援団体が育児用品のサンプルを配りにきてくれたりしました。昨日の回診と同じく、全て、1対1でベッド際に座って丁寧に説明してくれます。

出産時にもらえる母子手帳。通称Red book。ここに検査結果などの記録を書き込んでいってくれます。ワクチンなどの記録も今後ここに書き込まれることになります。
日本の母子手帳は、妊娠中と出産後とまとめて一冊ですが、イギリスではこの赤い本は出生後の記録のみで、妊娠中の記録(通称green book)は出産と同時に病院で没収(!)されてしまいます。(妊娠中の記録を残しておきたい方は、出産前にGreen bookのコピーを取っておいた方がいいかもしれません)
出産翌日のお昼御飯はなんと・・

午前中にひとしきり検査等が終わった後は、病院のお昼御飯。Postnatal ward(産後病棟)の廊下で配膳が行われているのですが、そのメニューはなんとサンドウィッチと、フィッシュアンドチップス・・!!!!出産翌日の妊婦に、フィッシュアンドチップスというこの世で一番健康に悪そうな食べ物をふるまうとは・・。しかも病院食で・・ ( ̄ロ ̄lll) 出産直後のトーストと紅茶に続いて、さすがイギリス!!!一瞬「うっ」と思ったものの、お腹が空いていたせいか、ぺろっと平らげてしまいました。日本だと、最近の産婦人科では、フランス料理だのイタリアンだののフルコースが出ると聞きましたが、なんたる違い。

無事退院!

そして1月7日の夕方に、夫の車で無事退院。
出産前は、「出産翌日に退院なんてあり得ない!せめて3、4泊は入院していたい!」
と思っていたのですが、実際経験してみると、「一泊で充分ですっ!っていうか早く家に帰りたい〜・・」という感じでした(^-^;)
以前、出産病棟見学ツアーに参加した時に、説明してくれたMidwifeが、「出産24時間後に退院しなくてはいけません」ではなく「出産24時間後から、自由になれるわよ」という言い方をしていた理由が納得・・(笑)

と言う訳で、決して「居心地がいい」とは言えなかった入院でしたが(笑)、入院期間が短い分、検査など必要な事柄に関しては、短期集中型でものすごく効率的だった印象でした。
何より、全て母親の目の前で見えるところで検査を行ってくれて、母親と赤ちゃんが主体となり、病院やスタッフさん達はあくまでもそれを「サポートしてくれている」というスタイルはとても良いなと思います。完全に無料で、外国人である私達もここまでのサービスが受けられるというのは、やはり本当に感謝です。

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